2018/6/20放送 クローズアップ現代_宮城県沖地震のスクリーンショット
ブロック塀の問題は実は40年も前の1978年宮城県沖地震から認識されていた。
日本においてコンクリートの地位がどうも低いのはブロック塀にも大きな責任があるのではないか。多くの亡くなった子供たちはブロック塀のすぐ近くで遊んでいたのだという。
安全だと思っていたコンクリートのそばにいるにも関わらず、本来では守らなければいけないコンクリートがあっさり子供を殺してしまう。
アメリカでは何か災害があったときはコンクリートの近くに行きなさい、となっているらしい。
コンクリート屋の私は娘にその言葉を言えない。
なぜならブロック塀は人を簡単に殺してしまうからだ。
子供、いや大人でもコンクリートの塀が安全かどうかなんてわからない。コンクリート業界に20年近くいる私でもとっさにはわからない。
「地震があれば塀からはいそいで離れなさい」
こう言って聞かせるしかない。
コンクリート屋は何をしていたのか、監督官庁は何をしていたのか。
実はコンクリートブロック塀に関する書籍は充実している。なぜ事故が起きるのか、どんな塀が事故を起こすのかすでに十分に調査されている。
問題はその教訓を生かさない、設計者、そして施工する職人だ。
愚者は経験に学ぶ、という。わずか数十年の中で自分の作ったインフラが災害に見舞われる確率はかなり低い。だからこそ歴史に学ばなければならない。
ちなみに製造するメーカーは経産省の管轄するJISによって管理されている。
設計、施工は国交省の管轄だ。
学会で言えばメーカーはコンクリート工学会、設計施工は建築学会だろう。
この縦割りの関係が何も解決できないまま、今に至っている原因ではないかとも思う。
そして一番問題をよく知っているのはブロックメーカーだろう。メーカーのホームページを見ると資料は充実している。しかしそれが免罪符になっていないだろうか。
ブロック塀のことを調べれば調べるほど、闇が深い。おそらく今の形では合理的によい塀を、安定して高品質に供給することはできないと思う。
40年も何をしていたのだろう。ブロック塀の時代は終わらせなければならない。
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